米国フィギュアスケート協会のホームページによれば、ショート後、アドレナリンが出なかったと語ったグレンは、全力でフリーに臨むことを誓ったという。そして言葉通り逆転優勝を果たしたフリー後には、「この全米選手権に臨むにあたり、私は最高の気分ではありませんでした」と語っている。

「今日は完全に集中することはできませんでしたが、大部分は必要なゾーンに入ることができました。私は自分の精神力と進歩をとても誇りに思います。残りのシーズンも、この安定感を維持していきたい」

 母国開催となる世界選手権(3月、アメリカ・ボストン)代表にも選ばれたグレンは、2026年ミラノ・コルティナ五輪の出場枠を確保する重責を担うことになった。グレンは2022年北京五輪シーズン、五輪代表選考会である全米選手権でショート14位につけた後、フリーを新型コロナウイルス陽性のため棄権した経験をしている。そして今、26歳で迎えることになるミラノ五輪に、グレンは着々と近づきつつある。(文・沢田聡子)

沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。フィギュアスケート、アーティスティックスイミング、アイスホッケー等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。2022年北京五輪を現地取材。Yahoo!ニュース エキスパート「競技場の片隅から」
 

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