25歳のアンバー・グレン(アメリカ)が、キャリアハイのシーズンを送っている。
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1月24日(現地時間)に行われた全米選手権(アメリカ・カンザス州ウィチタ)・女子フリーで、ショートプログラム3位だったグレンが逆転優勝した。ディフェンディングチャンピオンとして今大会に臨んだグレンは連覇を果たし、今シーズンは出場したすべての大会で勝ち続けている。
昨季からシニアの大会に出場できる年齢が段階的に引き上げられていることに加え、ウクライナ侵攻の影響でロシア勢が国際大会に参加できないこともあり、女子シングルは低年齢化に歯止めがかかった印象がある。その中で、今季特に輝きを放っているのがグレンだ。
14歳の時に全米ジュニア選手権チャンピオンになり、そのシーズンは世界ジュニア選手権で7位になったグレンだが、その後はアメリカ代表に選ばれない時期も過ごした。しかし20歳から練習し始めたというトリプルアクセルを習得し、昨季の全米選手権で初優勝を果たす。そして今季は、グランプリファイナルを制するなど国際大会でも快進撃を続けている。
グレンは、性的マイノリティーであること、また重度の不安障害とADHDを抱えていることを公表している。鍛え上げた体で力強いトリプルアクセルを跳ぶグレンだが、演技の前後にみせる表情からは繊細さもうかがえる。自らの弱みもさらけ出すグレンは、セラピーのトレーニングをしたことで安定性を得たと語っている。
絶好調の今季、連覇をかけて臨んだ全米選手権は、グレンにとって今までにない重圧が伴う試合だったと思われる。最終滑走者として臨んだショートでは、トリプルアクセルが両足着氷となり4分の1回転不足判定、3回転フリップ―3回転トウループを予定していたコンビネーションジャンプのセカンドジャンプが2回転になるなどミスが続き、70.91というスコアで3位発進となった。
しかし、フリーでグレンは強さをみせる。冒頭のトリプルアクセルは高さのある跳躍で、2.51の加点を得て成功。最後のジャンプとなる3回転ループで転倒したものの、他の要素はすべて加点を得る出来栄えで、フリーは145.88、合計は216.79。底力を示して金メダルを勝ち取った。