2年半続いたAERA連載「じゅうにんといろ」が終了。スタッフに「本当に楽しかったし、多くのことを学ばせてもらいました」と声をかけてくれた[撮影:蜷川実花、hair & make up 宮田靖士(THYMON Inc.)、styling 丸本達彦、costume GIORGIO ARMANI/ジョルジオアルマーニジャパン]
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 1月22日から世界初演となるミュージカル「ケイン&アベル」に主演する松下洸平さん。40代、50代の自分に思いを馳せた。AERA 2025年1月27日号の記事より。

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――32歳のときにNHK朝の連続テレビ小説「スカーレット」でブレークして以降、がむしゃらに走り続けてきた松下洸平さん。今年3月には38歳。最近、仕事の見え方が変わってきたと話す。

松下洸平(以下、松下):新たに臨む仕事に対して、当時も今も変わらずわくわくしているんですが、今はそれに加えて、どうすればずっとわくわくした思いを持ったまま仕事が続けられるかという視点も持ち始めています。今までは目の前の仕事にすごく必死だったし、どこにどんなチャンスがあるかわからないからガツガツもしていたと思うんですけど、そういった時期を経て先のことを考えるようになりました。40代が目の前に見えてきて、どのくらいのペースで仕事をすべきか、どういう見られ方が必要なのか、と。

 これまで、すべてにおいて優先順位の一番上に「仕事」を置いてきましたし、特に一昨年と昨年は、ずっと何かしらの仕事をしている状態で休みという休みはほぼ取らなかったんです。もちろん、そういった環境は誰かにやらされていたわけでもなく、すべて自分で選んできた道です。ただ、それが2年間続いたこともあって、少し心境に変化がありました。

 40代、50代と年齢を重ねていって、「ずっとこのペースでやれますか?」と言われたら、体力的にも精神的にも難しそうだなと思うし、ここから先は何を削っていくべきなのかを考えるようになりましたね。

 ただ、僕は基本的には仕事が好きで、「死ぬまで何かを作っていたい」「何かを表現したい」という思いは常に持っているし、あれもこれもやりたいと欲張っちゃうんですよね。歌も舞台もドラマも映画も、欲張っていくスタンスは変えずに、少し緩やかなペースでやりたいっていうわがままな感じです。

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今、悔いなくやる