去就が決まらないビシエド
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 プロ野球の世界は厳しい。昨秋のドラフトでは支配下で69選手、育成で54人、計123人が指名され、大きな希望を抱いて新人たちがプロの世界に飛び込んできた。一方で、かつて球界を代表する選手でも、プレーする環境を失い、ユニフォームを脱ぐ決断を迫られる。輝かしい実績をもつこの2人の強打者も、他球団での現役続行を希望しながら、いまだ吉報は届かず、引退の危機に瀕している。昨年限りで中日を退団した、中島宏之(42)とダヤン・ビシエド(35)だ。

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「近年は各球団で若返りが進んでいるため、実績ある選手も獲得を見送られるケースが目立ちます。純粋な戦力補強として考えた時に獲得の価値があるベテランでも、補強したら起用のチャンスを与えなければいけなくなる。球団サイドは中・長期的に考えると若手に出場機会を与えられなくなるというシビアな見方をしています」(スポーツ紙デスク)

松坂や松井稼頭央を迎え入れた西武だが…

 中島は西武の大型遊撃手として活躍し、最多安打を1度、最高出塁率のタイトルを2度獲得。規定打席に到達した2006年から12年の7年間で、3割以上を6度マークしている。遊撃の守備でもゴールデングラブ賞を3度獲得した。13年から米国に渡って2年間マイナーでプレーして帰国。オリックス巨人と渡り歩き、昨年は中日でプレーした。代打の切り札として期待されたが、死球を受けた右手の故障で戦線離脱したアクシデントもあり、15試合出場で13打数無安打。通算2000安打の大記録まで72本に迫っていたが、1本も積み上げることができず、戦力外通告を受けて中日を退団した。

 だが、まだ闘争心は消えていない。古巣・西武が獲得する可能性があるとみられたが、動きはない。西武を取材するスポーツ紙記者は厳しいチーム事情を語る。

「昨年どん底の最下位に低迷した西武は打線強化が最大の補強ポイントですが、中島を戦力として判断した時に厳しい評価になる。指名打者での起用が考えられますが、すでに中村剛也と栗山巧の両ベテランがいます。西武は松井稼頭央、松坂大輔と、いったん球団を離れた功労者に声を掛けて現役の最後を迎えてもらいましたが、今の西武はチーム再建に向けて育成の真っただ中です。指導者としてならともかく、支配下の1枠を使って中島を獲得することは考えづらい」

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他球団首脳陣のビシエドの評価は…