他球団首脳陣は「まだまだ1軍で活躍できる」
一方のビシエドは、まだ30代半ば。中日を退団した際、他球団から獲得の打診が舞い込む可能性は高いと予想されていた。チームの屋台骨を支える主力選手として中日で9年間プレーし、18年に首位打者、最多安打のタイトルを獲得するなど、コンタクト能力と長打力を兼ね備えた穴のない打撃が魅力だった。一塁の守備でもゴールデングラブ賞を2度獲得している。
だが、昨年は1軍での出場が15試合のみと激減し、打率.209、1本塁打、2打点。シーズンの大半をファームで過ごしたが、気持ちを切らすことなく若手の模範になった。ウエスタンリーグでは72試合出場で打率.300、8本塁打、31打点。他球団のファームの首脳陣は「大きく衰えたと感じない。一塁の守備も来日してうまくなりましたし、日本人枠で獲得できることは大きい。まだまだ1軍で活躍できると思いますよ」と太鼓判を押していた。
NPBは投高打低が顕著で、新外国人の打者を獲得しても、期待通りの結果を残すことが難しくなっている。それだけに、NPBで実績があるビシエドは価値がある。家族で日本での生活を気に入っており、昨年の年俸3億5000万円から大幅減俸を覚悟してNPBでのプレーを望んでいるだろう。だが、貧打で昨年の終盤に大失速した広島、得点力不足が課題の西武、オリックスを含めて、獲得を検討する声が掛からない。
セ・リーグ球団の編成担当は、ビシエドをこう評する。
「素晴らしい選手であることは誰もが認めている。人格者なので控えに回ってもフォア・ザ・チームに徹してチームによい影響を与えるでしょう。日本の投手の特徴を熟知しているので、全盛期のパフォーマンスに近づけば、ある程度の成績も期待できる。ただ、一塁を守るなら長打力が持ち味の選手がほしい。ビシエドは少しずつ飛距離が落ちているように感じます。新外国人選手が稼働しなかったり、主力が故障したりした球団が、緊急補強で白羽の矢を立てる可能性は考えられますが、本人がどこまで待てるのか」