張本氏が表舞台から去った今、“ご意見番”として唯一メディアに登場する人物と言ってもいいのが広岡達朗氏だ。現役時代は巨人で遊撃手として活躍、指揮官としても1978年にヤクルトを球団初のリーグ制覇&日本一に導き、その後も西武黄金時代の礎を作り上げるなど、選手、監督として圧倒的なキャリアを誇る。
「早稲田大、巨人という王道を歩んできた人物だけに日本野球への誇りが人一倍高い。発言の隅々から米国野球に大きく差をつけられた悔しさが感じられる。時代錯誤ととれる部分も多少あるが、正しいことを言っておられるとも感じる」(巨人OB)
原辰徳前監督時代は、古巣である巨人の戦い方やビジョンに対する歯痒さをストレートに発言する姿が目立った。しかし最近ではメジャーリーグに押され気味な日本球界全体への提言が増えている。
「『米国野球は素晴らしいが日本も負けていない』と伝えたいのだろう。野球界の米国偏重主義が強くなる中、広岡氏の意見は貴重で一聴に値する。高齢(92歳)でテレビ出演は難しいが、紙やネット媒体だけでなく肉声で思いを伝えてもらいたいが……」(在京テレビ局スポーツ担当)
SNS全盛時代となり誰もが意見を自由に書き込めるようになった。「物議を醸すような」発言をするご意見番の話を批判して叩く人は増える一方だ。
「今後もこのような流れは続くと見られる。野球だけでなく他競技も同様で、サッカーのセルジオ越後氏なども見かける機会が減っている」(IT関連メディア編集者)
とはいえ、ご意見番の存在は大事だという声も少なくない。
「張本氏や広岡氏のような“辛口”のコメントをする球界OBは競技に注目を集めるという意味では貴重。強めの発言を良く思わない人も多く、今の時代はSNSで炎上することも多いので言葉を選んで話している人も多いが、時にその競技に注目を集めるためにも、思い切ったことを言ってくれる人がいないと盛り上がらない部分もある。両氏のような存在がスポーツ界からいなくなるのは悲しくもある」(ウェブ媒体のスポーツメディア関係者)