西武監督時代の広岡達朗氏
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「球界のご意見番」が絶滅の危機に瀕している。愛情を込めつつ、時に厳しく叱咤激励する名物OBは、今の時代には必要なくなってしまったのか。

【写真】日本野球に対し「ナメた発言」をした助っ人がこちら

 少し前までは「ご意見番」と呼ばれるプロ野球の名物OBが多数いた。自身が現役だった時代を過度に美化するなど、時代錯誤ともとれる発言こそあるが、ある意味でプロ野球界ではお決まりのような愛される存在であったが……。

「時代の変化とともに、『ウザい』と認定されネット上では炎上してしまう存在になった。批判の声はご意見番本人の耳にも届くようになり、発言を自重する人も増え始めた。ハリさんが表舞台から消えたのもそういった要因があるのではないでしょうか」(在京テレビ局スポーツ担当)

 球界のご意見番として最も有名だったのは「ハリさん」こと張本勲氏。現役時代は東映や巨人で活躍、3000本安打を達成した伝説なプレイヤーだった。引退後は解説者などを務め、TBS系「サンデーモーニング」では、歯に衣着せぬ発言が度々話題を呼ぶ「喝のおじいさん」として知られていた。しかし2021年限りで23年間つとめた同番組のスポーツコーナーを卒業した。

「ネットが普及すると張本氏の発言が一人歩きを始めた。発言の一部を切り取られてネットニュースで取り上げられることで『老害』と言われるようになった。番組を降板したのは、年齢的なものとともに逆風の強さを感じて疲れたからとも言われている」(IT関連メディア編集者)

 野球では現役選手に対するダメ出しはもちろん、メジャーリーグは「レベルが低い」という旨の発言を連発。エンゼルス時代の大谷翔平が筋骨隆々の体を披露した際には、「プロレスじゃないんですから。野球に必要な体だけでいいんですよ」というコメントが物議を醸した。

「過激な発言が多かったが根底に競技や選手への愛情があるのは伝わってきた。他の競技でも現場は取り上げられることに感謝していたほど。だが、張本氏はネット社会には合わなかったと言えるかもしれない」(IT関連メディア編集者)

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広岡達朗氏は球界最後の“ご意見番”に…