富樫勇樹(31):千葉ジェッツふなばし/言わずと知れたBリーグの顔。守備のタイミングを外しての3点シュートや、スピード感あふれる縦横無尽な動きは瞬き厳禁(写真:千葉 格/アフロ)

 記者もいくつかのアリーナに観戦に行ったことがあるが、魅力を教えてと言われれば「観客席の一体感」と答える。行った先々で、そのチームのファンになってしまいそうなほどの熱狂と高揚感を味わえるのだ。

 しかし、やはり何をおいても選手たちの力強く華麗なプレーこそがBリーグの魅力。ここからは、バスケットボール解説者で、Bリーグ公認アナリストでもある佐々木クリスさんにオールスターの見どころを聞いていきたい。

 今年の注目は、何と言っても渡邊雄太だろう。NBAで6季プレーし、今季、満を持してというべきかBリーグに参戦した。

「彼の選手としての神髄は、数字には残らない黒衣に徹するプレーにあります。バスケは攻守が表裏一体で、目まぐるしく切り替わります。この切り替えがうまく、速い選手こそが活躍できる選手なんです」

大迫力のプレーが魅力

 ゴール前で相手のシュートをブロックしたと思えば、あっという間に攻撃の先頭を走っている。たしかにそんなシーンを何度も見てきた。

「見てほしいのは攻守が切り替わったときの最初の2歩の速さです。2メートル6センチという長身でありながら、スピーディー。世界で最も展開が速いNBAで6季も生き抜いてきたスピード感とダイナミックさは必見ですし、速攻から繰り出すダンクシュートはオールスターには欠かせない要素だと思います」

 渡邊のプレーにはバスケの魅力が凝縮されている。

「外国籍選手も含め、2メートル前後の大男たちがとてつもないスピードと跳躍力でぶつかりあう。その大迫力というのが一番の魅力。これはやっぱり生観戦をおすすめしたいです」

 そんな大男たちの中でひときわ小柄ながら、リーグの頂点に立ち続けるのが富樫勇樹。Bリーグが誕生して以降、すべてのシーズンでリーグのベストファイブに選ばれているのは富樫だけだ。

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富樫を目で追うだけで