百田:私もムロツだけです。私たちって似ている部分がありますよね。
ムロ:そうね。二人とも気にしいだし。
百田:でも考えてみたら、がっつり共演したのは「幕が上がる」ぐらいなんですね。
ムロ:あの現場はすごく濃密な時間だったと思う。ステージの上ではいつも輝いているももクロが、演じることに戸惑っていて、でもそれが映画としてとても美しかった。
百田:戸惑ってました。
ムロ:実を言うと、撮影前に本広(克行)監督から「ももクロを頼むね」って言われてたの。黒木華さんが芝居の面で引っ張って、僕は現場での過ごし方みたいなところを見せてやってほしいって。
百田:私たちは何も知らなかったけど、そうやって支えられていたんですね。
ムロ:本当に素晴らしい現場でした。悩めるももクロが中心にいて、その周りでは芳根京子、伊藤沙莉、吉岡里帆といった同世代の役者が「どうすればももクロの輝きに勝てるのか?」って本気で悩んでいる、その彼女たちも素敵なんですよ。のちにみんな主役級になっていくわけじゃないですか。すごいものを見させてもらったなと思った。あと、撮影後に黒木さんと飲みに行くのも楽しかった。若者を見守った後の大人の飲み会(笑)。
百田:記憶がよみがえってきました。たしかによく二人で行ってましたよね。
ムロ:うん。沙莉に言われたもん。「ムロさん、絶対に叶わない恋ですから、本気で好きになったらダメですよ」って。
百田:ははは!
ムロ:結局、沙莉の言った通りだったんだけど(笑)。
(構成/編集部・藤井直樹)
※AERA 2025年1月13日号
※この対談の続きは1月14日発売の「AERA 1月20日号」に掲載します。