「相手の気持ちが離れているのに粘っても余計嫌われるだけなのに意味がわからない」「自分のことを好きではない相手と別れないなんて一体何がしたいのか」「相手が幸福になるのを阻止しようと嫌がらせしているのでは」「駄々をこねればこねるほど気持ちは離れるし元に戻る可能性は低くなるのになぜそれがわからないのだろう」などと口汚く罵(ののし)られるのが目に浮かびます。婚姻関係となればなおさら、離婚してもらわないことには新たな恋人と関係を深めることも子どもを作ることも難しいため、前出の「別れたいと切り出した恋人」よりも激しく非難されるかもしれません。
要は相手の気持ちあっての恋愛において、どちらが間違いというのは特になく、自分が肩入れしたいほうが被害者に見えるし、そうでないほうが悪に見えるというものなので、別れようと言っている彼も、まだ好きで別れたくないと思うあなたも、どちらが間違っているとか悪いとかいうことはありません。逆に言えば、自分には何の落ち度もないのに相手の友人たちの中ではとんでもない悪者に見えてしまうというのも恋愛の特性であるわけです。
相手の友人の立場なら、どんな悪口が思い浮かぶか
私は相手の希望とこちらの希望が重ならないとき、相手の友人の立場になって、どんな悪口が思い浮かぶかを考える癖があります。そうすると自分が逆の立場であったり友人の立場であったりした際の記憶が呼び起こされて、「ああ私、今あの話で言うとあの人のポジションにいることになるのか、嫌だな」という風に、少しだけ自分の振る舞いを客観視できるようになるからです。
それは私の、相手にどう思われているかを気にしてしまう性格や見栄っ張りなところが大いに関係している習慣なのかもしれません。でも、私の場合は「相手の気持ちになって考えろ」と言われても、恋愛の渦中で自分の好きな人、あるいは嫌いになった恋人の気持ちになって考えるというのは到底無理なので、その周辺の友人の気持ちを想像するほうが容易(たやす)いのです。