限界ギリギリまでのティアラの軽量化と強度

 透明感のある繊細な細工も日本の宝飾品の特徴だ。花や唐草文様などを透かし彫りで仕上げていくが、裏にも細工をいれることもあるという。

 透かし彫りはエレガントな装飾であると同時に、素材の金属を彫り抜くことで宝冠の重量を軽くすることができる。

「表だけでなく裏からも彫りを施すのは、皇族方が重いと感じないよう、ご負担を軽減するためでもあります。ただし、華奢になってはいけない。強度を保つことができるギリギリのラインをミクロン単位で見極めながら、細工を施していきます」(大倉さん)

皇室のティアラや宝飾品を手掛けた「アトリエマイエドール」が創業時から職人の試行錯誤とノウハウが記録された門外不出のファイル=2014年、「アトリエマイエドール」工房、上田泰世(写真映像部)
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