雅子さまの顔の上で輝く「皇后の第一ティアラ」は、天皇が受け継ぐ由緒物で天皇から皇后に「お貸し下げ」される=2019年、皇居、JMPA

 歴代5人の皇后が着けてきたティアラは、天皇が代々受け継ぐ「由緒物」で、皇后に「お貸し下げ」されてきた。

 皇后雅子さまが、2019年の天皇陛下の即位に伴う一連の宮殿での儀式やパレードで着用されていたのが、「皇后の第一ティアラ」だ。

 明治時代にドイツの職人の手によって造られたブリリアント型の宝冠。60個のダイヤモンドがちりばめられ、トップには9つのダイヤの星飾りを戴くデザインだ。中央の星飾りのダイヤは、21カラットの大きさだという。星飾りは取り外して花簪にもなる。首飾り、純金のブレスレットとあわせて140個もの宝石が使われた豪奢な宝冠だ。

訪英時のバッキンガム宮殿での歓迎晩餐(ばんさん)会で輝いていたのは、菊の意匠の「皇后の第二ティアラ」を着用。菊の花弁と葉の1枚にまでしっかりと厚みを持たせた写実的な細工で、日本の職人の手により自然の造形美が体現されている=2024年6月25日、ロンドン

自然の造形美を体現した日本のティアラ

 皇后のティアラが日本製になったのは、大正時代に製作された「皇后の第二ティアラ」からだ。皇室に納めたのは、宝飾大手の御木本(現・ミキモト)。

 24年6月の英国訪問での晩餐会で雅子さまの頭上で輝いていた、菊をモチーフに日本の職人らしい自然の造形美が表現された宝冠だ。

次のページ