
ティアラを着ける場面は、皇居・宮殿での行事や両陛下主催の晩餐会など、さまざまだ。皇居だけではなく、訪問する国での歓迎晩餐会や王族の結婚式で着用することもある。
あらゆるシチュエーションでの使用を想定し、どのような髪型やシチュエーションにあっても女性皇族の頭にぴったりとはまり、疲れさせず、そして女性皇族を美しく輝かせる宝冠でなければならない。
ひとつひとつの宝石が大きく、金属部分も重厚感のある外国のティアラに比べて、日本の職人の手によるティアラは、日本の自然美を表現したような繊細なデザインと細工に定評があると、大倉さんは話す。
「欧州のティアラは、とくに横から見たときに、宝冠の土台からトップまでを直線で美しさを体現したデザインが多い。一方で、特にわれわれの工房では、宝冠の土台から上にかけて、ふんわりと弧を描くような優美さを意識して作ります」
