――富裕層に限らず、この考え方は共通しますか。

 将来の医療費や介護費用がどのくらいになるか、と不安に感じるのは、みんな一緒です。考えていたらきりがありません。今は医療も高度になっていて、命を長らえることができるようになりました。自費診療や個室費用などに必要以上のお金を何百万円も何年も払ってまで一日でも長く生きたいと思いますか。自分自身は50代、60代の旅行適齢期に旅行を我慢してお金を貯めるなんてナンセンスだと思っています。

――でも将来何があるかわかりません。

 その発想で人生を組み立てちゃいけないんです。人生を楽しく豊かに充実して過ごす。お金の使い方にせよ、時間の使い方にせよ、ここを主軸にして考えるべきだと考えています。人生の目的をしっかり考えて、捨てるべきものは捨てる。たとえば、延命治療はしない。そう断言する。それだけでも長寿リスクの不安が和らぐはずです。

日々の生活に潤いを与える

――それでも不安に感じる人がいるかもしれません。

 おそらく、それほどまでに将来が不安なのは自分の資産を把握していないからです。毎月入ってくる金額しか見ていないから不安になる。この連載で何度も話していますが、自分の資産の棚卸しをして、見える化しましょう。「意外と私、大丈夫かも」って思う人が多いと思います。それでもまだ長生きリスクが不安であれば、保険金を終身で受け取れる個人年金保険に入ることなどを検討すればいい。そのうえで、やりたいことをやって日々の生活に潤いを与えるお金の使い方をするんです。

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