日本PTA全国協議会(日P)の事務局が入るビル。日Pが所有している=東京都港区

「例をあげると、OBは子ども関連の団体を作り、日Pの『個人情報漏えい補償』を取り扱う代理店にしていた。その後、作りなおした別の団体も保険の代理店にして、青羽被告が連れてきた業者を使い事業をやらせようとしていたけれど、僕は賛同しなかった。いまOBの団体はその業者と組み、日Pを通してPTA会員向けのWebプラットフォームを展開準備中と聞いています」

文科省も急速に距離を

 なお、今年逮捕された青羽被告はOBらと近しく、金田氏とは敵対関係にあったという。

「青羽被告は自分の金の不正を暴かれたくなかったし、OBは日Pから排除されたくなかった。『金田を追い出したい』という点で利害が一致したのでしょう」(金田氏)

 混乱する状況に見切りをつけてか、長年日Pと協力関係にあった文科省はこのところ急速に日Pから距離を置いている。

 日Pが毎年開催する全国大会に長年参加してきたある協議会の男性は「今年は文科省の色がとても薄かった」と証言する。

「ほぼ同じ日程で行われた高校のPTA全国大会には副大臣が参加していたのに、今年の小中学校PTA全国大会(日P主催)に来ていたのは『お付き』のいない、局長未満の人物だった。これは前代未聞のことです」

 毎年秋に日Pと文科省が合同で開催してきた年次表彰式も、今年は文科省が外れ、2月に別途表彰式を開催することを通知してきたという。

 今後、日Pはどうなるのか。金田氏はこう推測する。

「内閣府は日Pが提出した報告書の裏取りをして、もし虚偽の記述があれば過料となり、是正勧告が行われる。真実を報告すれば公益社団法人の認定を取り消される可能性が高いのでは」

一から出直したほうが

 だが、公益法人でなくなるだけで日Pは再生できるのか。

 OBの力は依然として強く、現在も関東など一部の地域を除いて協議会・連合会の多くは日Pに背を向ける素振りはない。金田氏は「この状況を考えれば、日Pは一から出直したほうがいい」と語る。

「僕は保護者の声を代表する枠組みは必要だと思うので、日Pを立て直したかった。でも残念ながら今この組織は膿が溜まりきっている。膿を出しきれないなら一度全てをなくしたほうがいいのでは。全国のPTAにその膿が及ぶ前に各協議会がしっかり考えるべきです」(金田氏)

 前出の大森氏は、日Pが一般社団法人化することで改善する面もあるのではと期待を寄せる。

「日Pではこれまで『公益法人だからやめられない』と説明される事業が多く、見直しが進みませんでした。一般法人になれば、OBに頼らず現役保護者で運営できるようになるのでは。ただし、ガバナンスを立て直し、しっかりとビジョンを持たなければ見直しは進まず、前例踏襲が続くかもしれません」

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今後の規模縮小は間違いない