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 卒団した9名へのインタビューが掲載された『すみれの花、また咲く頃 タカラジェンヌのセカンドキャリア』を手がけた元雪組娘役、早花まこが語る。AERA 2023年4月17日号より紹介する。

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 2020年に18年在籍した宝塚歌劇団を退団しました。退団にあたって、他の世界を知らない自分が、どう新たな世界を歩んでいけるのか……と心配になり、先に卒業したOGの方々にお話をお聞きしたノンフィクション『すみれの花、また咲く頃 タカラジェンヌのセカンドキャリア』を今年3月に上梓しました。

 登場していただいたのは元トップスターから専科までの9人。組が違っても、歌劇団の日常の中で、その方ならではの姿勢が素敵だなと、憧れていた方々です。

 宝塚の舞台では、統率の取れた団体行動と、唯一の個性という両極を同時に求められます。ベースは協調性に置きながら、一人一人が輝くことで、唯一無二の世界が作り上げられます。

 時には、演出家の先生や上級生から厳しいダメ出しもありますが、その指摘は、「少しでもいい舞台にしたい」という目標ゆえのもの。また、「一人一人がタカラジェンヌとして舞台を楽しみ、より一層輝くこと」で、お客さまにもますます喜んでいただける。自分では気づけない客観的なアドバイスを、周りからたくさんもらえる環境は、宝塚ならではのものだと思います。

 私は小さいころから宝塚歌劇が大好きで、「入りたい!」と自分で決めて入団しました。どんな役をいただいても、舞台に立てることがうれしかったですし、望んで歌劇団にいるからには、猛烈に努力して、何事も乗り越えていくしかありませんでした。葛藤や苦しみはもちろんありますが、目の前の課題にひたすら打ち込み、自分自身と戦い続ける日々は、そこにいる人を強くしてくれます。インタビューしたみなさんも、精神的にタフな方が多く、「打たれ強く」「根性がある」のは、宝塚OGの持つ大きな強みだと思います。

 10代からの夢を18年間も満喫したので、宝塚退団後の人生を、私は「余生」のようにとらえていました。でも、インタビューを通して分かったのは、退団後もいろいろな道の切り開き方があること。

 舞台俳優をはじめ、海外からの技能実習生の支援教育に携わったり、故郷で3児のお子さんを育てていたりと、9人のみなさんは多彩な「セカンドキャリア」を送られています。私もこれから文筆活動で、宝塚で得たものを伝えていきたいと思っています。

AERA 2023年4月17日号