学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(31)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、周囲の人が結婚や出産、育児で変わっていくという30代の女性の悩みについて答えてくれた。

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Q. 30代になり、周りの人たちが結婚や出産などを経てライフステージを変えていくなかで、自分だけ何も変わらずに取り残されてしまっている気がします。マイペースでいいと思いながらも人と比べて心のどこかで焦ったり嫉妬したりしてしまう自分もいて、心が落ち着きません。廣津留さんは人と比べて、モヤモヤしてしまうことなどはありませんか?

A.  確かに30代になると、ライフステージが変化していく人が多いですよね。私もいちばんの親友に子どもが生まれて、子育ての話などを聞くと私とは全く違う人生を歩んでいるんだなと思います。すごく楽しそうだなと思うし、でも私自身も自分の人生をすごく楽しんでいるから、友達と比べてモヤモヤとはしないですね。それぞれが良しとする生き方でいいと思うんです。もしどうしても他人と比べてしまうのであれば、ロールモデルになる人を探してみるのはどうでしょうか。どんな人生を目指したいのかを考えて、ご自身が思い描くキャリアパスに近い人の話を読んだり、生きざまを研究してみたり、あるいはその人のYouTubeを見てみたり。そうやって自分が理想とする人の背中を追ってみると、モチベーションにもなるんじゃないかなと思います。

 今のところ私には明確なロールモデルはいないのですが、もし探すなら、好きなことを思う存分やれている人というのがポイントになりそうです。自分のやりたいことをやって、かつ家族や周りの人のことも大切にしているような人かな。アメリカでは家族を大切にするイメージが強いですが、自分だけでなく、周りの人の幸せも願うという考え方を学びましたね。家族に限らず、例えば同じ教会に通うコミュニティーのみんなが幸せであってほしいとか、道で困った人を必ず助けるとか、すれ違っただけの人でも素敵と思ったら褒めるとか、そういった隣人愛のようなものもあります。自分自身が成長し続けながら、自分の幸せを人に分けることができる人は見ていてとても勉強になりますね。

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