ヤンキースでも実績をあげて田中は楽天に復帰した

「居場所は結果で示して作るもの」

「田中はメジャーから日本球界に復帰した際、当時の日本人最高年俸となる年俸9億円プラス出来高の2年契約を楽天と結びました。さらに高い条件を提示した球団があったみたいですが、楽天の条件は破格です。先発の軸として15勝以上、最低でも2ケタ勝利で貯金が求められる立場ですが、その後、毎年負け越して1度も2ケタ勝利を達成できていない。球団からの期待が感じられなかったのなら、『何クソ』と見返すぐらいの気持ちで奮起してほしかった。過去の実績で勝負ができる世界ではありません。それは田中本人も分かっているはず。居場所は結果で示して自分で作るものです。楽天のレジェンドがこういう形でチームを去るのはちょっと寂しいですね」

 田中とすれば、メディアに発信できない様々な葛藤を抱えていたのかもしれない。自ら自由契約を望んだのは批判を覚悟の上だろう。獲得の検討をしている球団があることが報じられるが、必ずしもオファーにつながるとは限らない。今年のパフォーマンスだけを見れば、「1軍で通用しない」という声が少なくない。

 前出の楽天の球団関係者は「残念な別れ方になりましたが、彼が楽天で残した実績は色褪せることがない。別の球団で活躍することを願っています。日米通算200勝は通過点で、まだまだ先発で白星を重ねてほしいです」とエールを送る。

 球界の大投手が、新天地で再び輝く姿を期待したい。

(今川秀悟)

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