御料牧場に向かう皇太子(当時)ご一家。子犬の由莉を抱っこする愛子さまの腕から由莉のフワフワの尻尾がはみ出して=2009年5月、栃木県のJR宇都宮駅、JMPA

 愛子さまが抱きかかえていたフワフワの子犬は、途中で雅子さまが交代。愛子さまの目線までかがんで受け取った雅子さまは、歩きながら赤ちゃんをあやすように、腕の中におさまる子犬を何度ものぞき込んでいた。

 この年の2月、ご一家と長年暮らしていた愛犬の「まり」が、老衰でこの世を去った。そして同じ年の春、動物病院で保護されていた生後2カ月のメスの子犬が、ご一家のもとにやって来た。「由莉」の名は、漢字を勉強した愛子さまが、「自由」の「由」と茉莉花(ジャスミン)の「莉」の字をあてたものだという。
 

「由莉」は、ご一家を支える存在になった。ご一家と暮らし始めてから、アニマルセラピー犬としての訓練を受けている。学習院初等科に通っていた愛子さまの欠席が続いた時期には、東宮御所の門から学習院初等科の正門まで、愛子さまと一緒に登校する姿があった。

ご結婚25周年に公表された写真。シフォンのスカーフを巻いた雅子さまと由莉は、ピンクの「リンクコーデ仲間」=2018年、宮内庁提供

由莉と愛子さまは「リンクコーデ仲間」

 そして、由莉とご一家は、「リンクコーデ仲間」でもあった。

 愛子さまが10歳の誕生日を迎えた11年に公開された写真では、愛子さまが着るニットと由莉のバンダナの柄の色味が同じ赤で、翌年の11歳の誕生日にあたっての写真ではピンクでコーディネートされていた。

 陛下と雅子さまのご結婚25周年を迎えた18年の映像では、陛下の隣に、雅子さまの花柄のシフォンスカーフとピンクのバンダナでドレスアップした由莉が登場。

 そして愛子さまが19歳と20歳の誕生日写真では、赤坂御用地の紅葉を背景に、紅葉や椿柄のバンダナで登場。由莉に向けられた愛子さまの愛情が伝わる光景だった。
 

 ご一家と暮らす小さな生き物たちから、ご一家のおだやかな日常の風景が見えてくる。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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