北村:それは、ゴチ(日本テレビ系「ぐるぐるナインティナイン」の「グルメチキンレース・ゴチになります!」)で、ですか。
松下:ゴチ! 北村さんが出演されるっていうイメージはあまりないですけど(笑)。ドラマや映画などでまたご一緒できたらいいなと思って、台本をいただくたびに北村さんのお名前を探して……。
北村:またまた(笑)。そんな毎回思います?
松下:本当なんですって!(笑)
北村:僕はそんなこと思ったこともない(笑)。
松下:僕は「スカーレット」での思い出が強烈なんです。北村さんはドラマの途中で亡くなる役だったので後半はいらっしゃらなかったですけど、現場で役同士で向き合っているときの緊張感は本当にすごくて。お父ちゃんは八郎のこと大嫌いだから。
北村:嫌いじゃなかったよ(笑)。でも嫌いな感じでやってました。
松下:だから本当にそれが正直、怖くて怖くて。
北村:現場の空気感が?
松下:そうです……。でも、「スカーレット」では、いつもいい緊張感で現場にいられました。それは北村さんがいてくださったからだと思っています。
北村:カメラが回っていないところでも、僕の隣に娘役の子たちがいて、八郎がそばに座ろうもんなら「何来とん」「何座ってんねん」「どっか行け」ってね。
松下:本当に怖かったんです!(笑)
北村:でもね、今話したようなことはいつか、僕くらいの年齢になったら何か感じることがあると思う。
松下:そうですか?
北村:うん。今、自分より下の世代、20代や10代の子たちと一緒になるでしょ。その子たちからすれば周りが経験豊富な方ばかりで、そんな状況をいじってあげる。そうするとその子たちも一緒に輪に入り話せる。誰も話しかけないほうがやりづらさを感じてしまう。
松下:なるほど。
北村:いじっていじっていじるほど、後で文句言われたりもするけど、学校の教室みたいなもので、人のことを言うのが好きな人もいるんですよ。僕が若いときにどういう現場がよかったかなって、振り返って今思うのは、いじったりも含めて会話がある現場。
撮影が終わってから「あの時さあ、本当ひどいよね」と僕も先輩に言ったりはするけど、何年たってもずっと「現場でみんなで作ったんだ」という記憶が残る。そういう現場がいいのかなって。
松下:北村さんがそうやって八郎のことをいじってくれたおかげで、僕は周りの他のキャストの方たちと早く距離を詰めることができました。
※AERA 2024年12月9日号