
料理に求めるものも違う。
「料理の仕上がりに美を求めるか、時短を求めるか、料理に向き合う姿勢は人によって違う」(阿古さん)
東京都の教育関係職の女性(48)は、料理するときに時短を心がけるが、義実家は違う。
「義母は料理上手で、義妹にはうちの料理の流儀がわかっていないと怒られます」
悩んだ結果、今は「手伝えることがあったら言ってください」と伝え、子どもたちと料理の配膳、片付けを率先して行うようにしているという。
別の会社員の女性(50)の場合は、年末年始になるといつも義母が夕飯を作ってくれていたが、あるとき「今年は買ったものを食べよう」ということになった。「義母に無理をさせていたかもしれないと後々思った」という。
悩むのは妻ばかりではない。埼玉県の会社員男性(30)も「食事の準備をどのくらい手伝うべきか悩む」とこぼす。別の会社員男性(32)は「自分の実家に帰省するとき、妻だけでなく、私もエプロンを持っていった方がいいんじゃないかと思っています」
義実家での自分の振る舞いが正解なのかわからず、実は自分のいないところで悪口を言われているんじゃないか、と疑心暗鬼になる人は多い。
ベストな立ち位置探る
阿古さんは、「本当の親子ではないから、義父母が何に喜び、不快に思うかわからないのが当たり前です。自分がダメだと思わないでください」とアドバイスする。そして、義父母にもタイプがあるとして、こう話す。
「自分の言葉の裏の意味を汲んでほしい人もいれば、直接伝えるタイプの人もいます。台所は人に荒らされたくないし、一人で料理したい人もいます。一方で昔と違って、体力が落ちて手伝いが必要になってきた義父母もいます」
義父母に、心配なことは聞き、嫌なことは伝えて、関係を深めていくしかないという。そうすれば、ここまでは甘えていい、ここは怒ってもいいと見えてくる、と阿古さんは考える。
もやもやしたり、気疲れしたり。義実家との距離感は頭の痛い問題だが、たまの帰省は視点を変えてみるチャンスでもある。