ふつうに接し、率直に伝える
懸命に歩き方を学ぼうとする障がいのある子どもたちと接し、親たちの悩みを聞くうちに、高木さんは疑問を持つようになった。
「障がいがあるからできないと、本人もまわりも決めつけている。障がい者にどう接していいのかわからないから、はれものにさわるような対応が多いのではないか」
高木さんは、障がい者を持つ子どもにも「ふつうに」接し、気が付いたことは率直に伝えている。知的障がい者が社会人としてTPOに合わせたふるまいやコミュニケーションができなければ、目をつぶることなく、時間をかけて教えている。
「箸やフォークが使えるのに手づかみで食べる子もいました。教えたら、しっかりできるようになりました」
モデルの素質をみたうえで
障がいがある子どもたちが成長する姿は「ダイヤモンドの原石のようだった」(高木さん)。GMSを22年に創設した。知的障がい、ダウン症、遺伝性疾患、身体障がいなどさまざまな障がいのあるモデルが所属している。
「健常者と同様に、障がい者もモデルになれる人の数は限られている」と高木さんは説明する。GMSには障がいがある人から「どうしたらモデルになれるのか」と数多くの問い合わせがある。モデルとしての素質をみたうえで、本人の努力や家族の協力も必要になるため、実際に可能性に向けて挑戦できるのは1~2割だ。
親の協力も大切だ。テーブルマナーや身だしなみを「日常生活から意識するように」する。鏡をよく見て、ヒールを履き、化粧をする。白い服を着て食べ物をこぼさないようにする、良質なものを身に着けるといった「見られている」存在であることを認識する。自分をアピールし、気持ちを変えるファッションの力をいかす。
「撮影を通して主役としての場を持つことで、個性が磨かれ輝きが増していった」(高木さん)
口角を上げるトレーニングや歩き方など、必要に応じてワークショップを開くことはあるが、モデルになるためのレッスンは常設していない。個人がそれぞれトレーニングをしている。