巨人の大城卓三

「巨人は12球団で最も捕手の競争が熾烈」

 巨人で、甲斐の決断に影響を及ぼすか気になることがある。同じく今オフにFA権を行使するか注目された大城卓三が残留を決断したことだ。大城は昨年までは攻守の要として正捕手を務めていたが、阿部慎之助監督が就任した今季は先発マスクをかぶる機会が34試合と激減。本職でない一塁を守る機会が多かった。

 他球団のスコアラーは、「正直驚きましたね。岸田行倫に正捕手を奪われる形となり、大城は出場機会を求めて他球団への移籍を視野に、FA権を行使すると思っていました。巨人は岸田、大城、小林誠司と能力の高い捕手が3人そろっている。この状況で甲斐が加入して正捕手で試合に出続けるのは簡単ではありません」と語る。

 現役時代に捕手として巨人を含め複数球団を渡り歩いた球界OBは、新天地で不動の正捕手として活躍する難しさを話す。

「捕手は肩が強いから、配球術に長けているから、打撃が良いからといって、試合に出られるポジションではありません。バッテリーを組む投手との信頼関係が重要です。今年の巨人で言えば、菅野智之が先発登板する時は小林誠司が『専属捕手』として今季全試合でマスクをかぶりました。投手の考えを知り、良さを引き出すには時間が必要です。甲斐が移籍した場合は新しい環境に慣れる必要があるし、すぐに結果を求めるのは酷です。試行錯誤をする時期があると思いますが、その時に他の捕手に代えずに我慢して使い続けられるか。巨人は捕手の競争が12球団で最も熾烈です。正捕手を保証されていない覚悟で挑戦したほうがいいでしょう」

 捕手の移籍は難しい。22年オフに森友哉(西武オリックス)、伏見寅威(オリックス→日本ハム)、嶺井博希(DeNA→ソフトバンク)と3人の捕手がFA移籍したことがあったが、不動の正捕手になったというわけでもない。

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