中日・根尾昂

「チーム事情でポジションを振り回されて気の毒な部分がありますが、野手のままだったら正直厳しかったと思います。投手転向を決断した立浪和義前監督の判断が間違っていると思いませんが、先発でなくリリーバーの適性があるんじゃないですかね。中日の救援陣を見ると、清水達也、松山晋也、藤嶋健人を筆頭に能力の高い投手がそろっているので割って入るのは厳しい。救援陣の層が薄い球団で再起を誓った方が輝けるのではないでしょうか」(スポーツ紙デスク)

トレードで開花した吉田輝星

 トレードで輝いた好例と言えるのが、根尾と同学年の吉田輝星(オリックス)だ。ドラフト1位で入団した日本ハムで、当初は先発へのこだわりが強く投球フォームで試行錯誤を繰り返していたが、オリックスにトレード移籍した今年は救援で50試合に登板し、4勝0敗14ホールド、防御率3.32をマーク。故障者が続出して苦しいブルペン陣の中で奮闘した。

 スポーツ紙の遊軍記者は、「日本ハム時代はドラフト1位入団というプライドがあり、少し気負っていたように感じたが、オリックスではシュート、チェンジアップを効果的に使うなど多彩な変化球で投球の幅が広がり、投げる喜びを取り戻していた。トレード移籍で素質を開花させましたね」と評価する。

 ドラ1たちが高い能力を秘めていることは間違いない。背水の陣を迎えた中村、安田、根尾は、大輪の花を咲かせる“きっかけ”をつかむことができるだろうか。

(今川秀悟)

[AERA最新号はこちら]