総務省の「労働力調査」によると、2023年の就業率は、65〜69歳が52・0%、70〜74歳が34・0%、75歳以上が11・4%となっている。75歳以上がひとくくりにされてしまっているが、別の調査では細かい年齢層でのデータがある。

 内閣府「令和4年度高齢者の健康に関する調査」では、75〜79歳の「収入のある仕事をしている」割合は21・3%だが、80歳を超えると半減する。80〜84歳は9・7%、85〜89歳は5・8%、90〜94 歳は2・6%となっている。

 仕事をしている主な理由をみると、65〜69歳と70〜74歳では「収入がほしいから」が50・6%、43・0%と最も高いが、75〜79歳では「働くのは体によいから、老化を防ぐから」が30・5%で最も高くなる。80〜84歳では「仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから」が34・2%で最も高くなる。年齢が上がるにつれ、仕事をする理由が変わっていることが興味深い。85〜89歳では「働くのは体によいから、老化を防ぐから」と「その他」がともに33・3%で最も高い。

 私も老体に鞭打って社会活動に励んでいる理由は、人の役に立ちたい、社会に貢献したいという思いからだ。高齢者施設での仕事がない金曜日と週末も、理事長を務める骨粗鬆症財団の仕事や、いくつかの企業や財団での会議などで出かけることが多い。90歳になっても、いや、90歳になった今だからこそ、自分が何かの役に立てていることが嬉しく、体が動く限り、できることには精一杯取り組みたいと考えている。

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