プライベートは謎めいた一面も(写真:アフロ)

謎に包まれたプライベート

 また、意外にも、撮影現場ではムードメーカーの一面もあるようだ。19年公開の映画「初恋~お父さん、チビがいなくなりました」の完成披露試写会では共演者の藤竜也が市川について、現場で一日中、ものすごく大きな声で笑いっぱなしでムードメーカーだったと回想。同じく共演者の倍賞千恵子も、本当に元気が良くて、朝、現場にも笑いながら入ってきて、市川の笑い声を聞くと今日も一日頑張れるなと思い楽しみにしていたと振り返っていた。ベテラン俳優から絶賛されるほど周囲を明るい雰囲気にする一面もあることを知ると、さらに好感を持つ人は増えるだろう。

 一方で私生活は謎に包まれている。XやインスタグラムなどのSNSは一切やっておらず、細かいプライベート情報の発信などもしていない。「どこか謎めいた女優というイメージは、視聴者が気になる要因の一つだと思います。ただ、インタビューで私生活の一端が垣間見えることもあります。昨年1月に配信された『日経xwoman』では、忙しいとゆっくり料理をする時間が取れないが、そんなときでもみそ汁やスープなどは少しだけでも作るようにしていると告白。理由について、撮影期間中はプライベートでも『あの人はどうするかな』など、どこかでそのときの役について考えてしまうと言い、だからこそ役ではない“自分”がおいしいと感じられるものを作ることが、自分にとって大切なことだと明かしています。役を演じている撮影期間中でも、私生活では自分の軸を大切にしている様子がうかがえます」(同)

 エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は、市川の魅力についてこう分析する。

「以前、小林聡美さん主演のドラマ『山のトムさん』に出演したときに取材をしたことがあります。おだやかで落ち着いた雰囲気で、自分の考えをしっかり持ち、それでいて朗らかさとしなやかな感性を持っている人だなと思いました。今回、民放の連続ドラマ初主演が話題になっていますが、これまでの実績を見れば至極まっとうな評価で、特に驚くことではないと思います。俳優である前に一人の人間として、きちんと生活している実直さ、堅実さが感じられ、それゆえどんな役でも彼女が演じることで安定感・安心感が生まれる。そこに多くの人が魅力を感じるのではないでしょうか。個人的には『ブギウギ』で7年ぶりのドラマ出演を果たした姉の市川実和子との姉妹共演を一瞬でもいいから見てみたいですね」

 これまで脇役として数々の話題作で好演してきた市川だが、ドラマ主演で一気に世間からの注目が上がりそうだ。

(丸山ひろし)

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