「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」「左翼勢力に乗っ取られている」。自民党周辺から、琉球新報、沖縄タイムスの2紙を目の敵にするような発言が昨年以降、相次いでいる。沖縄の新聞は特殊なのか。著者は2紙で働く現場の記者に会い、真意を探る。
出身も年齢も基地問題への距離も異なる。基地問題を安全保障でなく、人権問題と捉えている点だけが共通する。オスプレイの爆音に耐え、米国軍人の犯罪が見逃される日常。なぜ、沖縄だけが不条理に苦しむのか。
記者の視点を通している時点で完全な客観性は存在しない。それは基地賛成派の意見も同じだ。2紙の記者たちも偏向と指摘されることを否定はしない。ネットで拡散する情報を疑い、自分の頭で考えてほしい。彼らの「偏向」は思考停止になっている人々への怒りである。
※週刊朝日 2016年7月22日号