AERA 2024年11月25日号より

 孫休暇に詳しい東レ経営研究所のDE&I共創部部長の宮原淳二さんはこう話す。

「企業としては、孫休暇の導入で、優秀なシニアの退職を防ぎたい考えがあるでしょう。また孤独な子育てによってうつになる人や他人に子どもの世話を頼めないなどの事情を抱える人もいます。祖父母によるサポートが可能となる孫休暇制度は双方にとって有効だと思います」

育児と距離あった世代

 一方で、忙しさのあまり子育てに積極的に関わってこなかった層は、孫育てに自信がない人もいるという。子育ての常識が変わっていて戸惑う人もいるだろう。

「孫育てデビューの本やネットの子育て情報をチェックしておいたほうがいいと思います。子どもの意見を参考にしながら、孫に愛情を持って接していたら、孫からも愛される存在になるでしょう」(宮原さん)

 子育てを手伝ってもらいたい親、手伝いたい祖父母。両者のニーズをつなぐ孫休暇について、孫休暇を設ける九州電力・人材活性化本部副長の岡部永(はるか)さんは言う。

「仕事と家庭の両立支援が進む現代と比べて、育児と距離があった世代にも育児の重要性を再認識してもらい、部下たちに育休を積極的に取ってもらう流れが出てきました」

 柔軟な働き方への理解にもつながっているようだ。

(編集部・井上有紀子)

AERA 2024年11月25日号より抜粋

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