「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は0.05775%。これと中身が同じ「MAXIS 全世界株式(オール・カントリー)上場投信」は0.0858%。

全世界株式の東証ETFは数が少ないためか競争原理が働かず、0.0858%のままだ。

東証ETFでも一時、S&P500やナスダック100のETFで信託報酬の値下げ競争が見られたが、すぐ下火になった。

 最後に、分配金に関しても触れておこう。

 普通の投信では、組み入れ銘柄から得られた配当の扱いが厳密に定められていない。分配金として支払ってもいいし、その投信の中で自動的に再投資に回してもいい。

 分配金を出す場合、その原資は配当だけではなく、組み入れ銘柄の値上がり益や利益のプール分を(分配に)充てることもできる。

 実際には配当の増減が目立っても、安定分配となるように操作することが可能だ。

分配金の透明性◎

 東証ETFは、組み入れ銘柄の配当金をすべて分配金として吐き出す(ETFの購入者に支払う)のが原則である。

 値上がり益や利益のプール分を分配金に充てることは原則できないルールだ。分配金に関して東証ETFは、普通の投信よりずっと透明性が高い。

 長期運用という観点に立てば、分配金は再投資に回して複利で増やすタイプの投信のほうが効率的だ。東証ETFは「分配金を受け取りながら運用もしたい」という人に合う。

 老後に普通の投信を取り崩すのが面倒だから、あえて東証ETFを買って、資産形成期は分配金を受け取ったらすぐ自分で再投資に回す人もいる。このあたりはお好みで。

取材・文/大西洋平、中島晶子(AERA編集部)

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編集/綾小路麗香、伊藤忍

AERA Money 2024秋冬号』から抜粋

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