これに対し、普通の投信は値段(基準価額という)を指定できない。

 平日の原則15時までに注文すれば当日中に受け付けだが、「実際にいくらで買えたか(売れたか)」は翌営業日以降にならないとわからない。

 この価格ですぐに売り買いしたい」という場面で東証ETFは使い勝手がいい。

 一方、東証ETFは新NISAで不便なこともある。

 「つみたて投資枠」対象の東証ETFのうち、実際につみたてられるのは、本誌取材によれば7本のみ(大和証券)。大半の人は「成長投資枠」で買うことになる。

上場代も別途発生

 さて、コストは?

 保有中にかかるコストは「信託報酬」といい、基準価額から日割りで差し引かれる。普通の投信でも東証ETFでも、信託報酬はそこまで差がない(厳密には銘柄により違う)。

 例として東証ETFの「MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信」と、普通の投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のコストを表で比較した。

 信託報酬は東証ETFが0.077%(年率、税込み/以下同)。普通の投信は0.09372%。

 東証ETFは信託報酬のうち販売会社(ネット証券等)の取り分がないため安く見えがちだ。

 ただ、東証ETFは指数の商標使用料が信託報酬の「外扱い」(でも、きっちり取られる)。「eMAXIS Slim 米国株式」は信託報酬に商標使用料も含まれている。

 さらに東証ETFは「東証に上場している代」も別途に発生。

 これらを合計すると、普通の投信と東証ETFでは、ほとんど変わらないか、銘柄によっては普通の投信のほうが安くなる。

 というのも、新NISAで人気が集中しているインデックス型投信は運用会社の価格競争が激化したため、異常な安さなのである。

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