高畑:しますよ、全然! でも一応、特定の相手がいる場合にその人のことを赤裸々に話すのはルール違反、っていう感覚はあって、そこの品性は一応保たれている。でも男性同士って、そういう配慮がなさそうだよね。

岡田:それは偏見ですよ!(笑)。まあそういう人も多いかもしれないけれど。あと男性は自分の体験を笑い話にしたり、本心からそらして話す癖があるかもしれない。そこが男性の弱い部分ではあるんですけど。

夢を抱くことなくなる

高畑:岡田くんは聞き上手なタイプですよね。

岡田:たしかに。いつも人の離婚や浮気の話を聞きながら「あらら~」って言っています。僕は姉と妹がいるので、姉がいる二也にちょっと近いところがあるかもしれない。

――本作の経験から結婚観などに変化はあったのだろうか?

高畑:ありました。これまでも結婚願望はあったけれど、そこまで踏み込んで考えたことはなかった。でもこの作品をやって「いい夫婦とはなんだろう?」「人と一緒に生きることにおいて、何が自分の中で大事なのか?」など自分と向き合わされた感じがします。結婚=キラキラ、みたいなイメージから、良くも悪くも結婚に関して現実的な発想になったというか。

岡田:夢を抱くことがなくなるよね。でももしかしたら今の若い世代はもっとリアルに結婚を捉えているのかも。

高畑:たしかに。私たち世代が結婚に一番キラキラな幻想を持っているかもしれない。いまは女性もガンガン働く時代だし「何のために結婚するのか?」を考え出したら一生踏み出せないと思う。単純に一人で生きていくより楽しいからとか自分だけのために頑張るのに飽きたからとかなのかな。なにより誰かと一緒にいるために頑張ることが一番自分を成長させるのかも、と本作で感じました。

岡田:この作品は夫婦で見ても楽しいはず。お互いに意見を言い合ったり、笑ったりしながら見てもらえれば嬉しいですね。

高畑:笑ってくれたらいいけど、夫婦のほころびがそこで広がる可能性もあるよね。「1122で離婚」はちょっと困るな(笑)。

(フリーランス記者・中村千晶)

AERA 2024年6月17日号

暮らしとモノ班 for promotion
2024年この本が読みたい!「本屋大賞」「芥川賞」「直木賞」