岡田:おとやんは一子が一番大事。でも美月に恋もしている。その距離感をどううまく見せられるかが意外と大変で。監督と話し合いながら進めました。
――本作は今泉力哉が監督を、妻・今泉かおりが脚本を担当している。初の夫婦タッグが軽やかさとやわらかさ、リアルな会話の妙を生み出している。
高畑:ご夫婦でこの題材を描くってすごいですよね。現場で今泉監督が奥さんに電話して「ここのセリフ変えていいかな?」とおっしゃっていたこともあった。
岡田:でも監督は基本、二也に否定的でしたよ。たまに「ダメですね二也は」ってボソッと言って(笑)。
高畑:今泉監督と岡田くんは深く思考されるタイプで悶々(もんもん)と悩んでいた。私はけっこう考えなしで能天気なタイプなのでその温度差で作品がうまく回った気がします。
――一子は一人っ子で母親との関係がうまくいっていない。そんな二人の距離と仲をうまい具合につないでいるのが夫のおとやん、という描写もリアルだ。
高畑:私も一人っ子なので、すごく共感できました。夫が母親とうまくやってくれるのが本当にありがたい。夫に一番求めるところって実はそこかもしれないなと。ただその役割をしてくれる人を性的対象に見られるだろうか? 全部の役割を網羅することはやっぱり難しいことなんだなと、この作品でいろいろ勉強になりました。
――寂しさを感じはじめた一子は女性向けの風俗に行き、礼(吉野北人)と関係を持つ。本作は女性の性欲も正面から描く。
高畑:私はプライベートでも性について話をする人間なのでそこもリアルでした。身近に、風俗に行ったことのある女性もいたし……。
岡田:えっ! そうなの?
高畑:あれ、してないっけ? この話。ドラマにも描かれていたけれど男性にとっては普通のことなのに、女性がすると急に禁句みたいになる感じが変だなと思っていて。
岡田:たしかに不平等だよね。ただ今回の台本を読んで「え、女性ってこういう会話を居酒屋でしているんだ……」と衝撃的ではありました。