アーチを放った後、ベンチ前でひまわりの種で祝福を受ける大谷。写真は左翼スタンドにたたき込んだ3号本塁打=2024年4月8日(写真:AP/アフロ)
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 ドジャースのワールドシリーズ優勝で幕を閉じた今季。大谷翔平選手は全54本塁打を放ったが、識者の目から見たベスト3は──。AERA 2024年11月18日号より。

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 大谷翔平の本塁打に魅了され続ける大リーグ評論家の福島良一さんに今季の「お気に入り本塁打ベスト3」を挙げてもらった。

 3位は、敵地サンフランシスコ・オラクルパークでのジャイアンツ戦で放った第12号だ。かつてバリー・ボンズが、たびたび右翼場外のマッコビー湾に打球を打ち込み、ホームランボールを目当てに船で待ち構えるファンの姿も有名だろう。マッコビー湾に飛び込む場外本塁打は「スプラッシュヒット」と呼ばれる名物だ。

「敵地で、もう少しでスプラッシュヒットかと思わせる飛距離約136メートルの特大弾。同球場では最近2年間で最も遠くに飛んだ本塁打です。もしこれが高地コロラドの球場だったら、おそらく150メートル級の超特大弾になっていただろうと想像するほどに強烈でした。来季は大谷選手がスプラッシュヒットを見せてくれることを期待したいです」

 2位は、今季メジャーデビューの怪物投手、ポール・スキーンズ(パイレーツ)との勝負で生まれた第15号。

「第1打席は3球連続で100マイル(約161キロ)以上の剛速球。大谷選手はすべて空振りして三振を喫したのですが、第2打席で初めて100マイル以上の速球を本塁打。しかも、バックスクリーンへ飛距離126メートルという衝撃の一打でした。これまでのキャリアで一番とも言える力対力の名勝負だったと思います」

野球の醍醐味は本塁打

 そして1位には本拠でのレッドソックス戦で打った第30号を挙げた。今季の飛距離で第2位にランクインした1本だ。

「ドジャースタジアム計測史上2位の飛距離144メートル、それも球場史上6人目の場外本塁打になろうかというほどの超特大弾でした。打球が飛びにくいドジャースタジアムでは特に、左打者の右翼方向への打球は飛ばず、過去に左打者の場外弾は一人しかいないのです。これも楽しみは来季に持ち越しですね」

 今季が終わったばかりだというのに、早くも来季が待ち遠しい。右ひじのリハビリ、そしてワールドシリーズでの左肩のけがによる関節唇の手術も無事終え、ついに投打の二刀流復活が期待されるが、やはり野球の醍醐味は本塁打。爽快で豪快な特大弾の量産を今から心待ちにしていよう。(編集部・秦正理)

AERA 2024年11月18日号より抜粋