日本中がこれほどワールドシリーズに熱狂したシーズンはなかっただろう。大谷翔平、山本由伸を擁するドジャースがヤンキースを4勝2敗で撃破して世界一に。ドジャースの中継を行ってきたNHK-BSのほかに、フジテレビが地上波で全試合を緊急生中継して話題になった。
民放他局の制作スタッフは驚きを口にする。
「フジテレビは全試合を生中継しただけでなく、夜のゴールデンタイムにもダイジェストで放送したことに驚きました。同じ時間帯にDeNAとソフトバンクの日本シリーズが開催されているにも関わらず、裏番組でワールドシリーズを放送したケースは今まで聞いたことがない。それだけ、大谷の需要が高いと判断したのでしょう」
険しい顔でインタビュー拒否
大谷は第2戦で二盗を試みて左肩を痛めた状態だったが、「1番・指名打者」でスタメン出場を続けた。世界一が決まるとナインと共にマウンドに駆け寄って喜びを爆発させたが、その後の映像が物議を醸した。
チームメイトと喜びに沸く中で、大谷は球団関係者と思われる人物に話しかけられ、促された方向に歩き出そうとした。次の瞬間、先方にいる誰かの姿を見たようで険しい表情を浮かべ、踵を返してしまう映像だった。NHKや米国メディアのインタビューに応じる中、フジテレビに出演しなかったことから、「フジテレビのインタビューを拒否したときの映像では」と大きな反響を呼んだ。
現地で取材したスポーツ紙記者はこう振り返る。
「山本はフジテレビのインタビューに対応しています。大谷が険しい表情を浮かべた時のやり取りは分かりませんが、フジテレビのインタビューを断ったのは事実でしょう。フジテレビの中継でインタビュアーを務めた巨人OBの元木大介さんが右手を大きく振っていましたが、大谷は見向きもしませんでした。そりゃそうだよなと正直思いましたけど……」
大谷サイドが態度を硬化させる理由がある。ロサンゼルスに邸宅を購入したことを受け、フジテレビと日本テレビが5月に自宅前からのリポートや空撮を行った。近隣住民へのインタビューも行ったことで、自宅を特定される事態に。一連の報道が問題視される事態になった。
「ドジャース側は怒り心頭でしたね。自宅が特定されることによって、大谷が家族、愛犬と心身が落ち着く空間を奪われたわけですから。この報道以降、日本テレビとフジテレビの関係者は球場には出入りしていましたが、大谷の試合後の囲み取材、インタビューには姿がありませんでした」(前出のスポーツ紙記者)