ヤンキースと対決したワールドシリーズでは第2戦の七回に二盗を試みた際、左肩を亜脱臼するアクシデントが発生。患部の状態が心配されたが、第3戦以降も「1番・指名打者」で試合に出続けた。NPBの球団トレーナーは「ケガの詳細は分かりませんが」と前置きした上で、「あれだけのスピードで滑り込んで、バランスを崩している。グラウンドに転倒した際の痛がり方を見ると、決して軽傷ではないと思います。打撃に少なからず影響があったでしょう」と指摘する。
ワールドシリーズ全5試合で19打数2安打、打率1割5厘。だが、この数字だけで貢献度を判断するのは早計だ。三つの四死球に加え、全試合で出塁している。
「4試合連続(ブレーブス時代を含めて通算6試合連続)アーチを放ったフリーマンがMVPに輝きましたが、相手ベンチが大谷の打席で継投策に神経を使ったように、打席に立つだけで重圧を掛けていました。ワールドシリーズの打率は1割5厘ですが、出塁率は2割2分7厘とはね上がります。思うような打撃はできませんでしたが、大谷は間違いなくヤンキースに脅威を与える存在でした」(前出のスポーツ紙記者)
自身初のワールドチャンピオンに輝いた大谷だが、挑戦はまだ続く。来季は投打の二刀流が復活する。規格外のパフォーマンスを見せる来季が早くも待ち遠しい。
(ライター 今川秀悟)
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