参加するには、クラス、部活、図書委員会、本好きの有志など、グループの性質は不問だが、学校内で複数人による討議を行い、学校単位で、担当教諭、司書教諭、学校司書が応募することが条件。その後、予選大会と呼ばれる地域ごとの討論会をオンラインで行い、各地区の候補作を1~2冊決め、各地域の代表校の代表者が全国大会と称する場で実際に会って討論し、今年の「高校生直木賞」を決定する。2014年に第1回が行われ、これまで11回行われている。第11回は全国46校の約500人の生徒が選考に参加した。

本家とは別の視点で

 興味深いのは、「直木賞」と「高校生直木賞」の受賞作がほとんど合致しないことだ。これまで本家の受賞作で受賞したのは、第7回の『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(大島真寿美/文藝春秋)のみ。例えば、最新の受賞作を比べてみると、高校生版が『ラウリ・クースクを探して』(宮内悠介/朝日新聞出版)なのに対して、本家は『極楽征夷大将軍』(垣根涼介/文藝春秋)、『木挽町のあだ討ち』(永井紗耶子/新潮社)、『ともぐい』河崎秋子/新潮社)、『八月の御所グラウンド』(万城目学/文藝春秋)の4作品だった。

 高校生たちが独自の視点で、読み、語り、決めるという、ユニークな賞である。(ライター・濱野奈美子)

AERA 2024年11月11日号より抜粋