「芥川賞」「直木賞」以外にも、個性的な本の賞はたくさんある。中には小学生、高校生が選ぶ賞も。独自視点で選ばれた受賞作をチェックしてみてはどうか。AERA 2024年11月11日号より。
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数ある本の賞の中でも個性的なのが「“こどもの本”総選挙」だ。小学生に「一番好きな本」を投票してもらい、ベストテンを発表する。第1回を2017年に実施して以来、2年に1度のペースで開催しており、過去4回で、約68万人が投票に参加している。授賞式のプレゼンターも子どもたちだ。
「子どものための本の賞は大人が選ぶことが多く、実際の読者である子ども自身がどういうものが好きなのか知る機会はなかなかありませんでした。それなら子どもに一番好きな本を聞いてみようという考えから“こどもの本”総選挙は始まりました」と、初回から事務局長を務めている岡本大さんは語る。
第4回の1位は『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)。これは2013年に出版されたヨシタケシンスケさんの絵本デビュー作だ。このようにロングセラーの本が選ばれることも多く、過去に1位になった『ざんねんないきもの事典』のシリーズや『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』のシリーズも今もランキングの常連だ。
ただ、ランキング外の本もここでは大切にされている。1千位までの本はデータベース化され、キーワードやジャンルで検索できるようになっているのだ。
「あくまでベストテンは入り口です。1票でも入った本を数えると3万冊ほどの本が挙がっており、そうしたたくさんの本に子どもたちが出合ってもらいたいと思っています。子どもたちのコメントを活用したり、1千位まで紹介したりというのは、そのための取り組みです」(岡本さん)
「すべてのこどもたちに、本と出会う喜びを」を合言葉に、大人が黒衣となり、子どもたちに本と出合う場を提供しているのだ。
高校生が選ぶ直木賞
学生が選ぶ本の賞をもうひとつ。それは高校生が選ぶもう一つの直木賞、その名も「高校生直木賞」である。本家の「直木賞」は年2回だが、こちらは年1回。直近1年間の直木賞の候補作から「今年の1作」を選出している。