近年、ネットコンテンツ市場はヒット作も多く、ますます盛況。「創作大賞2024」応募総数も昨年の3万3981作品から約1.5倍に増えたという(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 本の賞として有名なのは「芥川賞」「直木賞」だが、それ以外にもたくさんの賞がある。本を読むきっかけとして、受賞作を手に取ってみてはどうか。AERA 2024年11月11日号より。

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 授賞式の会場には異様な熱気があった。壇上に上がった受賞者は43人。会場に来られなかった人も含めると実に50人が賞を受けた。

 note株式会社主催の「創作大賞」は今年で第3回。応募総数は5万2750作品で、日本最大級の創作コンテストだ。そもそもnoteはクリエイターが文章や画像、音声、動画を投稿するメディアプラットフォームなので、創作大賞への応募も至って簡単。応募期間中作品をアップする時に「#創作大賞2024」のハッシュタグと、「#エッセイ部門」「#ミステリー小説部門」など応募したい部門のハッシュタグを付けるだけで完了する。それらの作品の中から、協賛する出版社やテレビ局などの協賛メディアがそれぞれの社名のついた賞の受賞作を選出し、その後、書籍化や映像化を目指すことになる。

 昨年の「創作大賞2023」で別冊文藝春秋賞を受賞した、秋谷りんこさんの小説『ナースの卯月に視えるもの』(文藝春秋)はデビュー作ながら人気シリーズとなっているし、光文社文芸編集部賞とテレビ東京映像化賞をW受賞した、星月渉さんの小説『私の死体を探してください。』はテレビ東京で実写ドラマ化されている。

 2022年は4社だった協賛企業は今年は21メディア。同時に募集するジャンルも年々増え、今年は12部門となった。「創作大賞」運営委員長を務める、noteディレクターの志村優衣さんは、こう語る。

「昨年から部門を細かく決めて応募者自身が選ぶ形にしたことで、よりメディアとクリエイターのマッチングがスムーズになり、受賞作品が増えました。今年は人気のホラー小説部門や、もともとnoteで書籍化の実績があったビジネス部門やレシピ部門を新設したことでより盛り上がったと思います。このコンテストは、クリエイターがデビューや作品化を目指す場ではありますが、noteはクリエイター同士の交流が盛んなので、ただ競い合うだけでなく、ライバルでも応援し合う温かい文化があります」

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