週刊朝日 2023年4月21日号より
週刊朝日 2023年4月21日号より

 飲食店の中には卵料理の提供を続けられなくなったところも多数ある。帝国データバンクの調査によると、4月5日時点で上場する大手外食100社のうち28社で、卵メニューの休止や休売など何らかの対策をしているという。

 板橋区の飲食店主は「大手はまだ卵が手に入るからいい。多少の値上がりにも耐えられる財力もある。でもウチみたいな個人店は、まずは卵の確保が難しいし、値上がりも非常につらい」とこぼし、メニューの変更を検討していると話してくれた。

 学生生活にも影響が出ている。東京大学生協食堂では2月2日、「スンドゥブ」「オクラの巣ごもりたまご」「釜玉うどん」などのメニューで、卵の在庫がなくなり次第、販売を休止すると発表。担当者は「卵を確保しにくくなっているのはどこも同じ。流通が元に戻るまで待つしかない」と話している。

 東京工業大学の生協食堂でも、東大生協食堂と同じメニューの休売を発表したうえで、2月17日には購買部・フードショップでも「ブロッコリーと海老の卵サラダ」「エクレア」など9種の商品で在庫がなくなり次第、休売することを伝えている。

 ふるさと納税の返礼品にも影響が出ている。

 千葉県匝瑳市では、多くの人が返礼品に選ぶ鶏卵が軒並み「売り切れ」「在庫なし」になっている。同市企画課によると「鶏卵はお得だと人気の商品です。現時点で提供が止まっているところがありますが、5月中旬からは提供が再開される予定だと聞いています」という。

 卵不足や価格の高騰で多くの外食産業が対応に苦心しているが、卵の生産・供給を担う鶏卵業者が迎えている苦労は並大抵ではない。

■あと1年くらいこの状態続く?

 山形県で鶏卵業を営む半澤鶏卵の3代目・半澤清哉さんは「世にいう『エッグショック』の最大の要因は鳥インフルエンザによる供給量の減少ですが、生産コストの大半を占める飼料代の高騰が大きな負担になっています」と言う。

次のページ