キッチンタイマーを使って実践しているのが「1分掃除」。集中して取り組むと「1分」は長い。洗面所やトイレなどの日々の掃除はこれで十分だと高木さんはいう。加えて、頭であれこれ考えなくても、体が効率良く動く「ルール」を決める。高木さんはスーパーでの買い物に、以前は1時間弱かかっていたが、今は20分。買い物リストの「ルール」を決めたのだ。

「以前は思いついた順に書き出していましたが、これだと売り場を行ったり来たりして効率が悪い。おまけにウロウロしている間に、余計なものが目に入って迷ってしまう」

思い込み捨ててシェア

 今はスーパーの「売り場順」にリストを書き出す。動線にムダがなくなり、余計なものを買うこともなくなった。カゴはカートの上下2段に置き、上段に常温品、下段に冷凍・冷蔵品を入れる。袋はエコバッグと保冷バッグの二つを用意し、会計時にどんどん詰める。こうすると帰宅後の片付けもスムーズだ。

 さらに「見える化」することで、頭の中の「仮置き」も極力なくす。自分のおかずのレパートリーを書き出す「献立客観シート」など、一見手間に思えるが「献立の慢性的な悩みから解放されます」(高木さん)。

 とかく「捨てる」ことには罪悪感が伴いがちだが、捨てないことでの「負の側面」も意識することが大切だ。先の大澤さんが、捨てるべきものに挙げるのが「自分にしかできない」という思い込み。仕事で、自分が会社を休むと職場が回らないのではと思うことがある。しかし実際にはどうにかなり、それで寂しさを覚えることもある。家事も同様だ。

「思い込みが家族から家事をする機会を奪うことにもなる。抱え込まずにシェアすることが大事です」(大澤さん)

 加えてもう一つ、捨てるべきものがある。「自分のやり方」や「完璧主義」だ。

子育てや部下の育成と同じ。寛容な気持ちで時間をかけないことには家事力は育ちません」

 捨てることで、大切にしたいものを守る。昭和型から平成型、さらにその先へ。新たな家事スタイルへの転換が始まっている。(編集部・石田かおる、柳堀栄子)

AERA 2017年2月13日号

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