自分を責めたければ責めてもいいし、亡くなった人のことだけを考えていてもいい。
自分の気持ちに身をゆだねて、時間の流れにしばられなくてもかまいません。朝になったから起きなくてはいけないと思う必要もないのです。
どうしようもない悲しみを抱えているときは、自分のペースで「ゆっくり、ゆっくり」が合言葉です。
今日一日だけ生きてみよう、そう思いながら一日を過ごしてみるのもいいかもしれません。
ある60代の男性は、こう話してくれました。
「妻を亡くして、とてもつらいとき、先のことは考えず、とにかく今日一日を生きようと思って過ごしてきました。一日一日を積み重ねて、もう7年になります。悲しみは変わらないけど、生きていてよかったと思う時間も増えました」
この男性と出会ったのは死別後まもなくの頃です。号泣しながら、「朝起きると、隣で妻が亡くなっていてね……」と話されていました。
当時は食べることも寝ることもままならず、私たちもずいぶんと心配しました。
「今日を生きる」をくり返す
言い知れぬ不安や絶望感におそわれ、自分の人生が終わったように感じることもありますが、それでもなお自分の時間は続いていきます。
「今日を生きる」を3回続けると3日間が過ぎ、7回続けると1週間が過ぎていきます。それをくり返していくなかで、人生への新たな気づきや生きがいが見えてくることがあるかもしれません。
死別の悲しみは時間がたてば解決するというものではないと思いますが、時の流れのなかで気持ちのありようは変わっていったりします。
苦しみながらもなんとか今日を生きることが、その先を生きることにつながっていくものです。