筑波大附駒場は東大だけで87人(54.4%)、札幌北も北海道大だけで120人(38.7%)を占める。ほかにも、地元の旧帝大に多く合格者を出す高校が上位に入りやすい傾向にある。
「一方で、地元に難関国立8大学がない地域からは、36位の金沢泉丘(石川)や37位の熊本(熊本)が入っており、健闘したといえます。特に今年の金沢泉丘は東大も京大も合格者を増やしました」(井沢さん)
なお、東大合格者ランキングでは42年連続1位に輝いた開成(東京)は、このランキングは26位の41.0%となった。今年の開成の合格者数は東大と京大と一橋大の合格者数しか集計できていないためで、昨年は57.8%で7位だった。
■首都圏の高校は旧帝大より早慶
また首都圏の高校の場合、地方では地元旧帝大など、難関国立8大学に合格できるような学力がある受験生でも、早慶をはじめとする私立大に流れる実情もある。
特に2020年のコロナ禍以降その流れが顕著になり、コロナ禍初年度となった21年入試では、早慶合格者のうち、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県の割合が過去最高の75%超となった。
この傾向は23年入試でも続いており、今年は74.7%と高い傾向が続いている。コロナ禍が落ち着き、今後の注目は何か。井沢さんがこう話す。
「女子の動向に注目しています。このランキングで女子校は28位に桜蔭(東京)が入ったのみです。共学校からは多くランキングに入っていますが、そこでも男子の割合が高いと思われます」
東大、京大をはじめ旧帝大の特徴に、大学定員の理系の割合が高い傾向がある。東北大のように学生の3分の2を理系が占める大学もある。
女子学生の割合は年々上昇し続け、今年の東大合格者の女性比率は過去最高となったものの、それでも22.7%にとどまる。京大も一般選抜(前期日程)の22年合格者の女子率が20.6%で、いかに理系学部を中心に女子を増やせるかが課題となっている。
一方で優秀な女子が文系を中心とした早慶に流れている現状がある。22年度をみると、早稲田大は学生全体(大学院を含む)の女性比率は38.1%、慶應大は35.8%と、東大・京大を10ポイント以上も引き離す。ほかの私大はもっと顕著で、上智大のように女子学生のほうが多い大学もある。
このランキングでは上位を中心に男子校が17校を占める。そのアンバランスさが出ている側面もある。
新年度を迎え、いよいよ来年受験という生徒もいることだろう。コロナ禍も落ち着き、移動や授業の制約も緩和されている。受験生には自分の行きたい大学に果敢にチャレンジしてほしい。(河嶌太郎)
※週刊朝日 2023年4月21日号