共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回って30年、結婚後も女性が働くのが当たり前のような風潮になっている。今や少数派となった専業主婦はこの風潮をどう感じているのか。AERA 2024年11月4日号より。
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共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回ってはや30年。2024年の総務省「労働力調査」によると、いま両者の比率は7:3となっている。そんな時代となった今、社会の隅に追いやられがちなのが「専業主婦」という存在だ。働かずに生活できることへの羨望もあれば、稼ぎをもたない立場に同情されることもある。
だが一口に「専業主婦」と言っても状況は千差万別だ。他人にどう思われようと、専業主婦である自身に価値を感じ、敢えてその立場を貫く人もいる。
「わが家では『家族はチーム戦』と考えています。私は専業主婦であることに納得して生きてきました」
千葉県に住む女性(40)はこう話す。保険会社で働いていたが、社外のセミナーで知り合った男性と13年前に結婚し、退職した。長く続けてきたダンスを生業にしようと夢に向かって動き出した矢先に予定外の妊娠をし、専業主婦になる道を選んだ。
「最初は葛藤もありましたが、だんだんと考えが変わってきたんです。子どもや家族のために働くのも尊い仕事だと気付いて、そちらを優先したいと思うようになりました」
実際に専業主婦になってみると、女性は自らが家族のなかで生みだす価値を強く実感するようになったという。
「夫の仕事のパフォーマンスが上がるように食事を作ったり、毎日ワイシャツにアイロンをかけたりすることは、私にとって『家庭のマネジメントをしている』という感覚です」
夫の年収増に貢献
マネジメントは功を奏した。結婚時に700万円だった夫の年収は、転職や昇進を経て現在は1200万円にまでアップ。女性は「この500万円の年収増には、私も大きく貢献したと自負している」と話す。
収入が増えたばかりではない。女性は簿記の資格を取得し、各種のセミナーに参加して資産管理を学んだ結果、毎月の貯蓄率は25%に。夫も妻の働きに感謝しており、「洋服など自分が好きなことにも堂々とお金を使ってきた」という。