ジョコビッチ選手の少年時代、母国セルビアはNATO軍の空爆下にありました。彼は、爆弾が飛び交う空の下で日々テニスの練習に励んでいたといいます。また、けたたましい爆発音を聞きながら防空壕の中で一晩中避難していたこともあったそう。



 当時のセルビア人にとって"命の綱"は小麦粉。戦時中、家族の食事を安価にまかなうには、一番安い油と砂糖、小麦粉を買いパンを焼くことでした。更にジョコビッチ選手の両親はピザ屋を経営していたこともあり、彼は非常に多くの小麦粉を摂取する状況にありました。



 しかし、そのことが後にジョコビッチ選手を試合中に呼吸困難に陥らせ、体調不良の波を引き起こす原因そのものでした。まさか自分が小麦に対して強い不耐症がある--つまり小麦アレルギーである--ことは2010年に栄養学者セトジェヴィッチ博士と出会いアレルギー検査をするまで知る由もありませんでした。



 彼はそれから体内の声に耳を傾け、どの食材が合っているのか確認し、体が求める食生活を開始。そして辿り着いたのが現在の彼の基盤であるグルテンフリー(麦に含まれているたんぱく質、グルテンを排除する)な食生活でした。



 ジョコビッチ選手の目覚ましい活躍と、同書の影響もありその後、世界的なグルテンフリーブームが到来。今では、グルテンフリーダイエットは、ある種、定番化していると言っても過言ではありません。



 しかしグルテンフリーダイエットは、そんなに"万能"なものなのでしょうか? ジョコビッチ選手は同書の中でも、こうも語っています。



「ほとんどのダイエットプログラムでは、相手が27歳のテニス選手でも、35歳の二児の母親でも、50歳の副社長でも、同じものを"食べなければならない"と指導する。バカげた話だ」



 たしかに100人いれば100通りのダイエットプログラムがあってしかるべき......さすが、世界最高のテニスプレイヤー、ぐうの音もでないほどの正論です。みなさまも、この機会に、自分の身体がほんとうに必要としている食生活とはどんなものなのか、考えてみてはいかがでしょうか。

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