菅野と違って「後継者」がいない岡本
今季15勝を挙げ、自身4度目の最多勝に輝いた菅野智之が海外FA権を行使し、来季はメジャーでプレーを望む意向を表明している。菅野は20年オフに球団の同意を得てポスティング・システムでメジャー挑戦を目指したが、交渉が成立せず巨人に残留した。だが、コロナ禍でメジャー各球団の財政状況が厳しかった当時と現在は状況が違う。35歳という年齢を考えると、条件面に強いこだわりはないだろう。
スポーツ紙デスクは、「菅野が抜けて、岡本もメジャーに挑戦するとなると投打の軸が抜けることになる。外部補強をしても岡本の穴は埋められないでしょう。今季は阿部慎之助監督のベンチワークで白星を重ねましたが、戦力だけで言えばBクラスに逆戻りしても不思議ではない。球団サイドがポスティングを認めるか、非常に難しい判断に迫られる」と分析する。
確かに、岡本が退団するとなれば大きな戦力ダウンは避けられない。完全復活した菅野は心強い存在だったが、先発陣を見るとエースの戸郷翔征、山崎伊織に加えて井上温大、横川凱、赤星優志、堀田賢慎と楽しみな若手が多い。一方で、「岡本の後継者」はメドが立っていない。
「高卒2年目の浅野翔吾が成長著しいですが、まだまだ一本立ちしていない。一塁の後継者と目されていた秋広優人は潜在能力が高いですが伸び悩んでいる。FA補強に乗り出した場合は、今シーズン中にFA権を取得した阪神の大山悠輔が有力候補になると思いますが、打者としての凄みは岡本より落ちる。阪神から巨人にFA移籍したケースが過去にないため、獲得に乗り出しても実現するかは微妙です」
一昔前は巨人がFA補強で他球団の主力選手を獲得していたが、時代が変わった。大谷翔平(ドジャース)、鈴木誠也、今永昇太(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)など日本球界を代表する選手たちはポスティング・システムを利用し、メジャーでプレーしている。今オフは菅野だけでなく、小笠原慎之介(中日)、九里亜蓮(広島)がメジャーに挑戦する可能性が報じられている。日本球界全体がメジャーの「草刈り場」になっている中で、巨人も例外ではない。メジャーの複数球団が東京ドームで試合を視察し、菅野、岡本、戸郷、大勢ら主力選手たちに熱視線を送っていた。