異例の動きだった。日本ハムがCSファイナルステージでソフトバンクに敗れた際、新庄剛志監督は「ドラフトが終わったときにしっかり答えを出します」と来季の去就について明言を避けた。すると、エースの伊藤大海が「来季も一緒にやりたい気持ちはすごく強い。“監督どこにも行かないで運動”をこっちから仕掛けなきゃいけない」と指揮官の続投を熱望する発言をして、メディア各紙で報じられた。
1人の選手が監督の続投を望む発言をすることは極めて珍しい。日本ハムの関係者はこう語る。
「伊藤にとって新庄監督は恩人とも言える存在です。21年の東京五輪で金メダルを獲得し、昨年のWBCで世界一と極限の重圧がかかる舞台で活躍したことで、チームに戻った時にモチベーションを維持することが難しくなっていた。その時に新庄監督がエースになる道標を提示し、ハッパをかけた。伊藤が完封勝利を飾っても称えず、常に高い水準を要求した。ただ、監督の続投を願う思いは伊藤だけではないでしょう。多くの選手が望んでいると思います」
選手への誹謗中傷に新庄監督が「僕に言ってこい」
新人の21年から2年連続2ケタ勝利をマークした伊藤だが、昨季は7勝10敗と負け越し。シーズン終盤の登板で打ち込まれた際は、SNS上で誹謗中傷するコメントが流れた。
これに対して伊藤は自身のインスタグラムで、
「言っていい事と悪い事はあると思います。ファンの皆様の応援があってこそのプロ野球選手ですし 決して安くはないチケットで観戦に来て頂いている皆様には 時には厳しい意見を言う権利はあると思いますが 意見と感想。それと誹謗中傷は全く別物だと思います。選手も普通の人間です」
と訴えた。
すると、新庄監督も動いた。伊藤の訴えの翌日、自身のインスタグラムのストーリーを更新し、
「可愛い選手達に誹謗中傷しないでください。今、選手達はものすごく成長しています。成長の妨げになることはやめてください。起用したのは僕です。『プロだから』『有名だから』何を言っていいわけではありません。人として言われる側の気持ちを考えてください。言いたいことがあるなら監督の僕に言ってこい」
と怒りを露わにした。