著者の最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』

 話を戻しましょう。

 人間関係では、「ありのままの自分」では、上手くいかないことがたくさんあります。

 だからこそ、本当の自分とは違う姿を演じることも必要になるのです。

 たとえばですが、社会には不条理があふれています。「あいつは大学卒だから」と職場で目の敵にされたり、旦那の会社でママ友のヒエラルキーで苦しめられたり、「はい」か「イエス」の体育会系で、自分を出すと「生意気だ」と言われたり、とキリがありません。

 なので、逆に「ありのままの自分」を保つためにも、人間関係に関しては、ある程度の工作活動を行っておくとよいでしょう。
 

 具体的には、「ポジティブな工作活動をすべき」なのです。

 つまり、誰かを陥れるためではなく、誰かを持ち上げることが、人間関係における工作活動の鉄則ということです。

 本物の諜報員は「相手の失墜」を目標に行動します。しかし、相手を下げようとする行為は、極めて危険です。というのも「人を呪わば穴二つ」と言われるように、相手を貶ようとして失敗すると、自分の地位が地の底まで失墜し、コミュニティから排除されても仕方なくなってしまうからです。

 そのリスクを考えて、人間関係で工作活動をするなら「相手の失墜」ではなく、「相手の名誉向上」につながるように行うべきなのです。

 これは隠れて悪口を言う「陰口」の逆バージョンと考えるとわかりやすいです。つまり、「相手がいないところで褒めまくる」のが良いのではないでしょうか。
 

 たとえば、カフェでちょっとくつろいでいるときに「課長はやっぱり責任感すごいよな」とか「田中さんは悪く言われているけど、シャイなだけで優しいですよ」と、誰かのプラスになることを言って褒めてみるということです。

 不思議なことなのですが、その場にはいない誰かの話をすると、話した情報が本人に伝わりやすいです。そしてその話が伝わった本人は、直接言われる以上に嬉しいです。

 また、たとえばですが、旅行に行ったときには、ちょっとだけ高価なお菓子を買ってみるのも効果的です。

 あるいは後輩に「あんまり無理するなよ」と温かい缶コーヒーをあげるなどの行動も、非常に効果的です。このように「ご飯を食べさせてくれる人」というのは、本能にダイレクトに響くので、自然と好感度が上がっていくようになります。

 多分「工作活動」と聞くとどこかネガティブなイメージが付きまといますが、やり方次第では、相手にとってもいいことがたくさんあります。

(ぱやぱやくん)

暮らしとモノ班 for promotion
大人向けになった!「プラレール リアルクラス」は飾って良し、走らせて良しの再現度にときめく