SRHRアクティビスト、#なんでないのプロジェクト代表・福田和子。海外で当たり前となっている、安全で安価な避妊や中絶の方法が日本にはなかった。それって、女性の権利じゃないの? 福田和子は留学先で日本と海外のジェンダー医療政策の差異を知り、帰国後に「#なんでないのプロジェクト」を立ち上げた。私の身体は私のもの。多くの選択肢から自由に選べるようになればいい。仲間と縦横に連携しながら、しなやかに活動をする。
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鮮やかな赤のワンピースに身を包む福田和子(ふくだかずこ・29)が、舞台脇でマイクを握る。
東京・新宿区で開催された「世界避妊デー」の記念イベント。女性や性的マイノリティーの人権向上を目指す20団体と個人、約60人が集結した。
仲間たちの前に立つ福田は9月末のこの日、イベントの司会も任されていた。
胸に片手を置き、情感豊かに開幕を告げる。
「今日は『虎に翼』の放映が終了し、総裁選がありました。『なんでこんなに気持ちが振り回されてしまうの?』みたいな日だったのではないでしょうか。でも、私たちにとって、今日は年に一度集まれる大事な日。みんなの権利を再確認して、みんなで頑張っていく機会にできたらと思います」
日本初の女性弁護士が主人公のNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」は、今にも続く女性の課題がふんだんに盛り込まれ、女性視聴者を虜(とりこ)にした。最終回を迎えた日に総裁選が行われ、高市早苗と石破茂がデッドヒートを繰り広げた。女性初の首相誕生なるか、という期待の一方で、高市は夫婦別姓反対を掲げ、もしも総裁に選ばれたらジェンダー平等に逆風が起きると懸念されていた。
福田の語りは、女性の引き裂かれるような気持ちを短い言葉で掬(すく)い取る。聴衆はうなずきながら聞き入る。場に連帯感が立ちのぼった。
終了後、舞台に飾りつけていた風船を参加者へ手渡していく。透けてつややかに光る風船が撮影グッズになった。「SNS映え」するパーティーのような集合写真が拡散されていく。
イベントを主催したNGO「ジョイセフ」の草野洋美(44)は、福田があらゆる世代のアクティビストの「ロールモデル」になっていると話す。
「豊かな感受性で天真爛漫に活動している和子さんは、刺激を与えてくれる存在。年齢に関係なくいろんな世代の女性たちが縦にも横にもつながれるようになったと感じます」