「今回は特に演者兼スタッフという感覚なので、できることは何でも買って出るという気持ちでいます」(友近さん) 撮影/小山幸佑

「あの頃」の成分どんどん足した

友近 そうそう(笑)。それは土曜ワイド劇場のほうやね。最初は土曜ワイドに寄るのか火曜サスペンスに寄るのかも迷ってたから。プロットの段階では、「あの頃」の設定もだいぶ固まって、男女のバディ感とか、舞台となる土地の映像を最初に見せながら、主人公がナレーションでその土地の歴史とかを説明していく始まりとか、私が絶対にやりたいと思っていることを西井くんにお伝えして進めてもらいました。でも、それであの脚本が書ける理解力というか吸収力はすごいよね。今までドラマの脚本は書いたことなかったんでしょう?

西井 はい。4日間くらい宮城の山奥の温泉宿にこもって脚本を書いたりもしました。温泉が舞台だったので、その雰囲気を味わうことが必要だなと。ただ、僕が脚本を書いた上で、さらに友近さんが「ここは昔っぽく『ナイス!』って言います」とか「乗った!」とか、撮影中に「あの頃」の成分をどんどん足してくださって、あの完成形が出来上がった感じですね。撮影は6日間しかなかったから本当に大変でしたけど、友近さんが「それそれそれ」っていうお芝居を目の前でやってくれるから楽しくて(笑)。

友近 西井くんの笑い声が聞こえると、「あ、大変やのに笑ってくれてるってことは、いい感じになってるんだ」と私もうれしかった。そもそも「なによ、やけに今日は上機嫌じゃない」みたいな日常言わないセリフとか、推理しながら独り言を大声でハッキリしゃべるとか、そのセリフを言いたくてコントにしていたようなシーンの連続だったから、私はただただ楽しいんですよ(笑)。お芝居はお芝居でちゃんと成立させたいという思いもあったけど、そこはバディ役のモグライダーの芝くんとか、時東ぁみちゃんのお芝居もちょうどいい「っぽさ」で来てくれたから、スムーズに気持ちよく撮影できましたね。

――友近さんが特にこだわったところは?

友近 オープニングの音楽かな。最初は火曜サスペンスのあの「チャッチャッチャッチャ」という音を当ててたんだけど、あくまで「っぽいもの」のほうが絶対にいいと思ったので「今言うと大変やろな」と思いつつ修正をお願いしました。

「主題歌、歌うよ」

西井 当時っぽい音を出すために、昔のシンセサイザーも買いました(笑)。主題歌も途中まではそれらしいものをはめようかという話だったんですけど、権利問題もあって友近さんに歌っていただくことになったんですよね。

友近 そう。でも私は最初から言うてたからね、「主題歌、歌うよ」って。

西井 そこまでやっていただくのは申し訳ないなと思ったんです。結局、僕が鼻歌で歌ったものをプロの方に曲にしてもらったんですけど、編曲のアレンジとか10往復ぐらいやって相当時間をかけて仕上げました。そのかいあって「聞いたことあるけど新しい」と評判の(笑)、「ジャスト・アローン」という曲が誕生したのでよかったですね。

「友近さんという看板があったから愛媛県の皆さんが協力してくださって、少ない予算でも実現できたことは多かったと思います」(西井さん) 撮影/小山幸佑
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