YouTube初の80年代風サスペンスドラマが話題だ。主演の友近さんと、監督・脚本・編集を手掛けた西井紘輝さん(撮影/小山幸佑)
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「友近サスペンス劇場 『外湯巡りミステリー・道後ストリップ嬢連続殺人』」が話題だ。YouTube発のサスペンスドラマで、芸人の友近さんが主演を務め、昭和っぽい映像を得意とする「フィルムエストTV」主宰の西井紘輝さんが監督・脚本・編集などを手掛けた。なぜ、この作品が生まれたのか。

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最後まで見なあかんやつ

 1980年代にタイムスリップしたかのような映像と、「見たことのあるサスペンスドラマ感」がクセになるのか、90分の長尺にもかかわらず、公開から約40時間で100万回視聴を記録(現在は339万回視聴)した。

――この反響は予測していましたか?

友近 面白いと思ってくれる人たちに見つけてもらえたら行くやろうな、とは思っていました。私が最初にフィルムエストさんの動画を見て「何これ!?」と衝撃を受けたように、「何この映像!?」と違和感を持った人が「あれあれ、終わらんぞ……」と見続けるうちに「これは最後まで見なあかんやつやん」と最後まで見てくれたんじゃないかな。

西井 そうですね(笑)。予想をはるかに超えるスピード感で再生数が上がっていったのには驚きました。

友近 そうそう、気持ちよかったよね!

――きっかけは、友近さんが西井監督のもとに企画を持ち込んだことだったとか。

友近 はい。もともと自分のライブでも「土曜ワイド劇場」をオマージュしたようなコント(「友近ワイド劇場 黒蛙の美女」2018年制作)をやったり、2時間ドラマが大好きだったので、いつか80年代の2時間ドラマの、あの時代を模写したようなコントを映像でやりたいなと思っていたんです。そんなとき西井さんの存在を知って、お互いのYouTubeチャンネルでコラボするなかで、西井さんなら完全にイメージ通りのものができると確信して、これはもうアプローチするしかない、と。

事の重大さはすぐ理解した

西井 友近さんの真剣なまなざしで、僕も事の重大さはすぐに理解しました(笑)。それが去年の10月くらい。でも本業(放送局の社会部記者)をやりながらでは無理なので、一旦、会社はお休みしようと。前例はなかったんですけど、会社側も理解を示してくれて、「特命休職」という制度を作ってくれたんです。1年間休職してしっかりこのドラマに取り組む環境が整いました。

――西井さんは20代。友近さんがイメージする「80年代っぽさ」はすぐに理解できましたか?

西井 僕もそこはすごく懸念していて、早い段階から話し合って進めていきましたから、そんなに困ることはなかったですね。ただ、2時間ドラマ自体を見たことがなかった。友近さんに、「キャットショー連続殺人」とか「カルチャースクール連続殺人事件」とか、聞いたことのないタイトルの2時間ドラマを大量に「見て!」とご指定いただいてから、いろいろと研究していきました(笑)。

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それは土曜ワイド劇場のほう